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国・官公庁で発表されている図表を転載する際に許諾は必要?著作権侵害のリスクと官公庁の作成した著作物に関する著作権の制限について

はじめに

国・官公庁が作成した著作物を私たちが自由に利用する権利はあるのでしょうか?
今回は、国や官公庁が作成した報告書などの著作物(図表含む)に対する著作権の制限、政府報告書や白書の転載のルールについて詳しく解説します。
国や官公庁が作成した著作物に適用される著作権や著作権の制限について理解を深めるために、ぜひご一読ください。

著作権侵害の定義

以下の4つの要件をすべて満たすと、著作権侵害が成立します。

【著作権侵害の定義を表した図】著作物である ・著作権が存在している ・著作権の効力が及ぶ範囲で利用されている ・利用者が著作物利用について正当な権原を有していない

それぞれの要件について、簡単にお話いたします。

著作物である

著作物とは、著作者に創作物に関する独占的な権利を与え、無断使用から保護する対象となるもののことです。
例:映画や漫画、音楽や小説など

著作権が存在している

著作物の中には、著作者が創作したものであっても、著作権による保護の対象とならないものがあります。
例として、憲法、法律上の制定法、司法判断は除外されます。(著作権法第13条
さらに、著作権は存続期間が定められており、存続期間が終了すると保護はなくなります。(著作権法51条~58条

著作権の効力が及ぶ範囲で利用されている

著作権は大切な権利ですが、完全に著作者のみ認められる権利ではありません。
「表現の自由」などの他の権利と衝突するような場合には、著作権の効力が制限されることがあります。
したがって、一見、著作権違反に見えることでも、著作権侵害にならない場合もあるのです。

利用者が著作物利用について正当な権原を有していないこと

著作権者は著作物を利用したい人に対して、利用許諾を与えることができ、利用者はその範囲内で著作物を利用することができます。(著作権法63条

利用許諾を受けずに=権原を有さずに、勝手に著作物を利用すると著作権侵害になります。

Tip 権原とは
法律上または事実上認められた行為を実行する権利を「権原」といいます。
「権限」という言葉との誤解を減らすため、口頭では「けんばら」ともいいます。

 官公庁の作成した著作物を許諾なく転載できる場合

官公庁が作成した著作物の全てを、許諾無く利用することが出来るとは限りません。

著作権法第32条第2項にあるように、政府機関の著作物については、一定のルールのもとに転載・利用が認められています。
これは、著作権法の例外規定であり、政府機関が作成した著作物の有効活用を可能にするものです。

政府機関が作成した著作物については、下記のとおりです。

【政府機関が作成した著作物一覧の図】政府が発行する白書(エネルギー白書、原子力白書、防災白書など)や、各種報告書(年次報告書、意識調査報告書など)などといった著作物
法律で定められていない場合でも、政府機関の著作物を説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができます。

ただし、著作権法第32条第2項では、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が「一般に周知させることを目的として作成」したものという条件を満たす必要がありますので、公表を目的としていない著作物は当てはまらず、許諾なく転載することはできません。

また、官公庁が公表している著作物であっても、官公庁が著作権を有していない場合もあるので、注意が必要です。
例えば、有識者の著作物はその有識者に権利があります。

著作権法
第三十二条項
第二項 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048

転載が適法となる要件

著作物の転載には、著作権法第48条「出所の明示」の遵守が不可欠です。
つまり、著作物の出所を利用方法と照らし合わせて合理的な方法と程度で明確に表示する必要があります。
また、前出の著作権法第32条にあるとおり、「説明の材料として」の転載が可能なわけですから、たとえ官公庁の著作物であっても、丸ごと転載することは禁止されています。つまり、法律上、説明資料としてのみ転載することが出来るとされています。
ただし、転載を制限する表示がある場合は、著作権者の許諾を得なければ転載はできません。
これら著作権法の要件を満たせば、転載することは可能となります。

著作権法
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条第一項の規定により著作物を複製する場合(略)
出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048#Mp-At_48

著作物の利用については、こちらの記事で解説しております。

著作物を利用するためには ~利用許諾と権利譲渡の手続き~

処罰規定

著作権法第122条の規定に違反した者は、転載・引用・複製する際に正確に出典を明記しなかった場合、50万円以下の罰金に処せられることがあります。

著作権法
第百二十二条 第四十八条又は第百二条第二項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048#Mp-At_122

当社による対策のご案内

株式会社GENRYUは学術文献に係る著作権の専門家です。
デジタル媒体の普及により、著作権侵害が著しく容易になりました。
近年、著作権をめぐる話題はますます注目されており、引用・転載利用を行う際の原稿確認の必要性が高まっています。

当社の運営する「SACRA MORE(サクラ モア)」では、医学・薬学分野における著作物の著作権の利用許諾の申請をスムーズに行うことが出来ます。

海外の最新論文や珍しい文献となると、権利元の特定に何日もかかる事もあり、海外の権利元と英文メールでのコミュニケーションや、許諾申請書の英文を用意する必要があります。
さらに、租税条約を締結している国との取引になれば、税務署へ必ず届出を行う必要がなります。

SACRA MOREで著作物の利用申請を行えば、学術分野の専門ノウハウを駆使して、スピーディーに権利者を調査し、権利状況の確認から許諾申請を行うことが可能です。
当社は、国際的な税務に長年携わっている税理士と契約を結んでいますので、租税条約の手続きも可能です。

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https://sacra.genryu.net/

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